Hilbert変換器の設計(IIR構成Hilbert変換フィルタ対の設計)
- 対称的な極零点配置を有する一次のオールパス・フィルタ群の縦続接続により,出力信号の位相差が90度となる一組のIIRフィルタを実現出来ます.
- アナログ回路では一次オールパス・フィルタの縦続接続によるヒルベルト変換器の構成法は良く知られていて,アナログ・フィルタ設計の教科書にも載っています.(スイッチト・キャパシタを用いた応用例) 身近な例ではアマチュア無線家がPSN(Phase Shift Network)方式SSB(Single Side Band)変調を用いた送信機を自作するのに用いています.
- 低遅延,高精度を実現可能なのでオーディオ関連の用途に適しています. 特に適応フィルタを用いたハウリング・キャンセラのdecorrelation処理用の周波数シフト回路に最適です.
- 直線位相ではありませんからデータ通信等のアプリケーションには向きません.(パルス波形は歪みます) 無線関係のアプリケーションではAM変調波の包絡線検波に用いることが出来ます.
- 計算機設計によるフィルタ特性の定量的評価はまだおこなっていません. 従来の(一次の項を有さない)二次のオールパス・フィルタの縦続接続によるHilbert変換フィルタ対との特性比較も今後の検討課題です.
- 詳細は日本音響学会2010年秋期研究発表会の予稿集CD-ROM中の資料をご覧ください.(音講論(秋),3-10-14,2010)(要旨)
PDF資料 hilbert_ohp.pdf (253KB)
Scilabによる位相特性,極零点配置表示プログラム
- Scilabで作成したHilbert変換器(4次)を用いたデモ・プログラムとその処理結果(簡単なお遊びの音声処理です)