Olimex製エミュレータXDS100v3の話
下記に記述している内容はすでに古くなっています. 現在Olimexが販売しているエミュレータXDS100v3は改良されて、ピン配置変換アダプタは不要になっています.(代わりにボード上のコネクタが一つ増えました) 小売店などから新規に購入される場合は、アダプタ不要の最新版であることを事前に確認することをお勧めします.
- TI(Texas Instruments)にはXDS100という廉価なJTAGエミュレータがあります. この製品は一種のオープンハードのような形になっていて、複数のTIの3rd partyが製造したものが販売されています. ここでお話しするのはOlimex製のXDS100v3についてです.(v3はVer.3をあらわしています)
- JTAGはスキャンパス・テスト以外に、プロセッサのエミュレータやFPGAの書き込みインターフェースとしても用いられ、その接続コネクタの種類と結線には似て非なるものが多数あります. OlimexのXDS100v3はTIのDSP用の14pinコネクタ/20pinコネクタ、(TIの)ARM用の20pinコネクタに対応しています.
Olimex製XDS100v3
接続ケーブルはTI製DSP用14pinのものです
自作したアクリル製のカバープレートを取り付けた状態です
Olimex製XDS100v3
TI準拠のARM用20pin接続ケーブルを取り付けた状態です
- ややこしいことにARMのエミュレータの20pinコネクタには、TI準拠(TI製評価ボード)のピン配置とは異なるARM純正(?)のピン配置があります. OlimexのXDS100v3には両方に対応するためのピン配置変換アダプタが付属しています.
ARM用ピン配置変換アダプタ(20pin)
- さて問題はこのアダプタをどのようにして使うかということです. この種の製品を使ったことがある人なら、それは接続ケーブルの先に付けるんだよ、お前さんはそれくらいのことが分からないのか?と思われるかもしれません.
実はこれではN.G.
エミュレータの接続ケーブルの先にPodや下駄基板を取り付けて使うことは良くあるのですが....
- ところがどっこい、ブルガリア人の発想を舐めてはいけません. このアダプタは次の写真のようにして使うのです.
O.K.
- 業務で使うのはDSPのみで、ARMを使う予定は今のところ無いのですが、Olimexの説明書の記述が分かりにくく気になって調べてみたらこの結果です.(もともとアダプタの基板部分に被せてあった黒い熱収縮チューブを切り開いて結線を確認しました) 日本人技術者の常識的発想では想像しがたい設計ですが、もしかしたら単に製造時のミスで基板に取り付けるコネクタを取り違えてしまっただけなのかもしれません. いずれにせよ、設計の仕事には思い込みは禁物であるという教訓を再確認した次第です.
参考資料
Olimex XDS100v3 コネクタピン配置(ボード上のコネクタ3種のピン配置) olimex_xds100v3_pinout.gif
Olimex XDS100v3 ARMアダプタ結線 olimex_xds100v3_adapter.gif