無限音階生成プログラム(携帯電話着信音用)
- Scilab用の無限音階、いわゆる Shepard tone、シェパード音階の生成プログラムです.
適当に作ったプログラムですが、携帯電話の着信音に使用するために人間の聴覚特性を考慮した工夫をしてあります. サンプリング周波数8kHzのwavファイルを生成します.
- プログラムは2つに分けて作りました.(面倒なので2つのプログラムを一つにまとめる予定はありません)
一番目のプログラムはド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シの各音を別々のwavファイルに出力します.
使用しているプログラミング言語は Scilab です.
定義どうりの無限音階生成 gentone.sce
高調波を付加した無限音階生成 gentone2.sce
次のプログラムで各音のwavファイルを結合して、ひとつなぎのドレミファソラシのwavファイルと約60秒分のループしたwavファイルを生成します.
単純連結 mixtone.sce
各音の間のスペース、特性揺らぎを付加して連結 mixtone2.sce
mixtone2.sce を使って連結した無限音階は適当な変調によって特性揺らぎが付加されるので、ピュアな合成音っぽさがいくぶん減って少し濁ったリードオルガンのような音色になります.
- 定義どうりの無限音階と、高調波を付加した無限音階のスペクトルの違いは下図のようになります.(スペクトログラム、いわゆる声紋分析のグラフ)
高調波を付加しないとループ再生したときに聴感上『シ』の音が弱くなって、『ドレミファソラシド』ではなく『シ』が抜けた『ドレミファソラン ド』のように聞こえることがあります.
定義どうりの無限音階 pure_tone.wav (220KB)
帯域が4kHzに制限されているので、『シ』の音だけ最高次の調波成分を加えていません.
『シ』の音が抜けた『ドレミファソラン ド』のように聞こえる場合があります
高調波を付加した無限音階 harmonic_tone.wav (220KB)
4kHzの帯域内で適当に高調波を付加してあるので、各音のスペクトルの密度の違いが小さくなっている
再生帯域幅の狭い小型スピーカーでも綺麗な無限音階に聞こえます
スペクトルの密度の違いはフーリエ変換した周波数特性を比較するとはっきりします.
定義どうりの無限音階
周波数が高くなるほど調波成分の密度が疎になります
かまぼこ形の周波数特性になっているのは意図的にBPFを通してあるからです
高調波を付加した無限音階
高域にも十分なエネルギーを持つ広帯域信号になっています
- gentone.sce で生成した音と gentone2.sce で生成した音を比較試聴してみれば、高調波(歪)を付加すると音色が濁る(音質が悪くなる)ことが分かります.
gentone.sce と mixtone.sce で生成した音階(高調波付加無し) scale_pure.wav
gentone2.sce と mixtone.sce で生成した音階(高調波付加あり) scale_harmonic.wav
- オーディオ・マニアやオーディオ・マニア向けの製品を作っているメーカーの技術者で、真空管アンプは倍音成分が豊かになって心地よい音になる、音質が良くなる〜などと言う人がいますが、まったくのデタラメであることも分かるでしょう.
- 真空管アンプは倍音成分(x2, x4, x8, x16, x32,...)のみを付加するような奇妙奇天烈な特性を持っていません. 偶数次の歪(x2,
x4, x6, x8, x10, x12,...)だけでなく、奇数次の歪(x3, x5, x7, x9, x11, x13,...)も発生します. 素人のオーディオ・マニアが妄想に取りつかれるのは仕方の無いことかもしれませんが、オーディオ機器を作っているメーカーの技術者が『倍音豊かな真空管アンプは音が良い』などと言うのは耳ばかりか頭もおかしいのではないかと思わざるをえません.
歪をつけて音が良くなるのならわざわざ真空管アンプを使う必要などなく、エレキギター用のイフェクタ(ディストーション)を使えば良いのです.
- 設計の良い三極管シングル・パワーアンプは聴感上検知しにくい偶数次の歪が優勢で、かつソフト・クリップ特性を持っているので、NFB(負帰還)がたっぷりかかった急峻なクリップ特性を持つトランジスタ・アンプより出力が小さくても十分な音量感が得られる〜ということはありますが、21世紀に入ってからこのようなきちんとした技術的説明を聞いた記憶がありません.(パワーアンプで偶数次の歪が優勢か、奇数次の歪が優勢かは、出力段のデバイスの特性曲線にロードラインを引いてみれば分かることです)
- パワーアンプの歪に関して言えば、NFB(負帰還)がたっぷりかかったトランジスタ・アンプと比較して、今時のデジタル・アンプは桁外れに歪特性が悪いのですが、その点を問題視するオーディオ・マニアやオーディオ機器メーカーの技術者がいないのも不思議なことです. やはり歪(倍音成分?)が多いからデジタル・アンプは音が良いことになっているのでしょうか?
- オーディオ機器でもっとも歪の大きいのはスピーカーで、その歪率はパーセント・オーダーに達します. しかしオーディオ業界ではスピーカーの歪は音質に悪影響を与えないことにする、スピーカーの歪に関して議論はしない〜というお約束になっています.
- 当然ですが、はやりのバランスド・アーマチュア型のドライバを使ったイヤホンも凄まじい歪を発生します.