CANCELLER KIT − ハウリング・キャンセラ実験キット
CANCELLER SOFT/LIB − ハウリング・キャンセラ実験ソフトウェア/ライブラリ
- CANCELLER KIT 製品概要
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- 最新のハウリング抑圧研究の成果に基づくハウリング・キャンセラ実験キットです. どなたでも手軽に世界最先端のハウリング抑圧手法の実験、技術習得、デモンストレーションが出来ます.
- 従来技術では不可能だった0dB以上の利得を有する拡声システムにおいてのハウリング抑圧が可能です.
- 補聴器、ハンドメガホン、拡声システム、マイクロホン・アレイ併用拡声システムの4種類の構成に対応しています.
- 付属のDSPハウリング・キャンセラのソースコードと高速で扱いやすいDSPプログラミング・ライブラリを用いてプログラム修正・改変、ユーザー独自の処理を追加しての実験も可能です.
- 詳細は当社まで直接お問い合わせ下さい. TEL (042)357-0621
CANCELLER KIT 製品資料 canceller_kit_catalog.pdf (650KB)
- 上図に示すように、ハウリング・キャンセラ付き拡声システムはシステム同定の構成の適応システムの出力信号(適応フィルタの誤差信号)が適応フィルタの入力側にフィードバックされる形になります.
- 帰還システムにおいては、その信号経路を切断することによってシステムが原理的に安定となる箇所がフィードバック・パスであり、上図中でFEEDBACK
PATHと示した部分がフィードバック・パスになります.
- ハウリング・キャンセラ付き拡声システムにおいてはスピーカ/マイク間の音響系の信号経路はフィードバック・パスではありません. スピーカ/マイク間の信号伝達を遮断しても、適応フィルタを経由した閉じた信号経路(ADAPTIVE
FILTER → DECORRELATOR → FEEDBACK PATH → LIMITER → ADAPTIVE FILTER)が存在するため、システム全体の安定性を保証することは原理的に不可能です. したがって音響系が帰還システムのフィードバック・パスでは無いことは自明です.
- CANCELLER SOFT/LIB 製品概要
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- CANCELLER KITに含まれているハウリング・キャンセラ実験ソフトウェア/プログラミング・ライブラリのみを単体で販売するものです.
- CANCELLER SOFT/LIBを用いてハウリング・キャンセラの実験をするためには、ハードウェア(DSPボード、マイク、スピーカ、アンプetc)はお客様にて準備していただく必要があります.
- 必用なDSPボードはTI(Texas Instruments)社製の C6713 DSK です. 国内販売価格は5万円前後です.
- 当社出荷価格は45万円(税込48万6千円)、教育機関向けのアカデミック・ディスカウント価格は18万円(税込19万4400円)です.
製品の詳細は当社までお問い合わせ下さい → TEL (042)357-0621
- CANCELLER KIT, CANCELLER SOFT/LIB で用いるハードウェア(DSPボード)は、Texas Instruments
(TI) の浮動小数点DSP評価ボード C6713 DSK です. C6713 DSK 付属の開発環境 CCS (Code Composer
Studio) Ver.3 の対応OSはWindowsXPまでですが、フリーで入手可能な CCS Ver.6 でも問題無くDSKを使用可能です. CCS
Ver.6はWindows10, Windows7等にも対応しています. C6713 DSK の CCS Ver.6 での使用方法については、下記のページをご覧ください.
- 実験可能なハウリング・キャンセラの応用分野
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- 補聴器
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- オープンフィッティング型の補聴器のハウリング・キャンセラに適しています.
- 高度難聴向けの補聴器にも適用可能です. 十分なハウリング・マージンを確保出来れば、装用者個別のイヤモールド作成作業は不要になります. パソコン(または専用装置)とカテゴリー連続判断法等を用いた装用者自身による補聴器特性の調整を実現出来れば、フィッティング作業の手間を大幅に削減出来る見込みがあります.
- 補聴器では処理遅延が問題となりますが、デコリレーション処理に必要な周波数シフトはIIR構成のHilbert変換器を用いて低処理遅延で実現可能です.
- ハンドメガホン
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- マイク一体型のハンドメガホンの高性能化が可能です. ホーン無しでもハウリング発生を抑圧出来るので、製品デザインの自由度が向上します.
- ただし従来製品と比較するとデジタル処理導入によりコスト増大があります. そのため、製品レベルでハンドメガホンへの応用が可能となるのは低コストのハウリング・キャンセラLSIの普及が進んでからになるでしょう.
- 本体とマイクが分かれているショルダー型ハンドメガホンへのハウリング・キャンセラの適用は現在の技術では困難です.
- 拡声システム
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- 講演会場、会議場等のマイク固定の拡声システムでは大幅なハウリング・マージン拡大が可能です.
- 学校の校庭での朝礼に使用するような拡声システムにも適用可能です.
- マイクロホン・アレイ技術と組み合わせれば、話者がマイクを持ってステージ上を移動するような拡声システムでも安定したハウリング・マージン拡大効果が得られます.(特許出願済み、詳細については日本音響学会の研究発表会または電子情報通信学会と共催の電気音響研究会で発表予定)
- 残念ながら、手に持ったマイクを大きく振り回して歌うようなカラオケへの適用は今後の研究課題です. 現在の技術では大音量のハウリング音の成長を抑制することは可能ですが、レベルは小さいもののヒーヒー、ヒュンヒュンという異音が混入するために商品として許容出来るレベルの音質は得られません.
- 適応マイクロホン・アレイ併用拡声システム
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- 適応マイクロホン・アレイと適応ハウリング・キャンセラを一体化することによあり,ハウリング抑圧性能・安定性を大幅に向上させることが可能です. 適応ヌル・ビームフォーマーによりスピーカ方向に指向性のヌルを自動的に形成します.
- 付属のアレイ・マイクはわずか2素子の最小限の構成のために,任意方向への鋭い指向特性のヌル形成は出来ませんが,それでも製品レベルに近い性能が得られます. マイク移動にともなう異音(ヒーヒー/ヒュンヒュン音)はほとんど抑圧されます.
- この構成はマイクを手に持って話者がステージ上を移動するような状況でも使用可能です.
- 詳細については日本音響学会の研究発表会(2012年9月)に発表予定です.(特許出願済)
- CANCELLER KITでは使用しているDSPの演算性能等の制約のため、あくまでも可能なのは「製品に近い」構成での実験ですが、従来技術を大幅に上回るハウリング抑圧性能を得られることが確認可能です.
- 現在の高性能DSPのアーキテクチャはブロック処理主体の画像処理や処理遅延の制約の緩いマルチチャネルのオーディオ信号処理向けで、必ずしもハウリング・キャンセラには適していません. 実験にはDSPのソフト処理の方が便利ですが、ハウリング・キャンセラの製品化には汎用DSPよりもハードマクロの乗算器ブロックを多数搭載したFPGAの方が適しています. 現在のFPGAの演算性能で、ハウリング・キャンセラの実時間処理にはまったく問題ありません.
- 当社とのハウリング・キャンセラ応用製品の共同開発・技術指導受け入れ、将来の当社からのハウリング・キャンセラ製品のOEM供給、当社からの特許ライセンスを検討されている企業様に、ハウリング・キャンセラの基本技術の検討材料としてCANCELLER
KITをおすすめします.
- 大学・高等専門学校等の教育機関向けには大幅なアカデミック・ディスカウントがありますので、詳細は当社まで直接お問い合わせ下さい. TEL (042)357-0621
※ 本製品は当社の所有する知的財産権・工業所有権を販売、譲渡、ライセンスするものではありません.
- 製品構成
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- 対応OS
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- 実験には本キット以外に、DSPプログラム作成とDSPボードへのプログラムのダウンロード、DSPボード制御に用いるUSBポート付きのWindowsパソコンが必要です. 対応OSはWindows2000,
WidowsXPです.
- TI (Texas Instruments) のフリー版開発ツール(CCS, Code Composer Studio Ver.5)を用いれば,WindowsVista, Windows7も使用可能です. フリー版開発ツールのダウンロードにはTIのwebでのユーザー登録が必要です.
- フリーの仮想マシン・プログラムVirtualBoxにWindowsXPをゲストOSとしてインストールしても、WindowsVista, Windows7搭載パソコンで使用可能です.
- Windows7のXPモードでの動作は未確認です.
- 価格
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- 当社出荷価格 220万円(税込231万円)
- アカデミック・ディスカウント価格は当社までお問い合わせください. TEL (042)357-0621
- 海外への輸出は出来ません.
- ※ 製品仕様は予告無く変更する場合がありますのでご了承下さい.