部品・基板をきれいにデジカメで撮る方法
銀塩写真を趣味にしている方にとっては当たり前のことかもしれませんが,以下のようなコツで基板や部品をきれいにデジカメで撮ることが出来ます.
- グレイカードまたはそれに近い灰色の色紙・板を背景にする
- グレイカードはカメラの露光設定の標準に使われている灰色の板(紙)です.(入力光を18%反射) カメラ店で入手可能です.
- グレイカードがなくても,明るさの違う灰色の色紙を何種類か画材店で買ってきて,撮影対象に応じて適当なものを選択して使うと良いでしょう.
- コンパクトタイプのデジカメは画面全体の平均的な明るさで露出を決めるものが多いようです. グレイカード(灰色の色紙)を使えば背景の明るさ・色の影響を受けず,常に一定の露出設定で撮影が出来ます.
- 真っ黒なモールド部品やピントの合いにくい小さな部品などを撮影する場合は,薄い色か白色の色紙を背景に使ってください.
- 間接照明で撮影する
- 天井の照明が直接撮影対象に当たらないように,白色のスチレンボードを上にかざして壁からの反射光(間接照明)のみを使って撮影します. スチレンボードは画材店で販売しています. 白い厚紙等でもかまいません.
- 照明や壁からの反射光の強さに応じて,スチレンボードと天井照明の間隔は適切に調節してください. 部屋の壁が白い場合,反射光でも明るすぎて,壁に薄い色のカーテンをかけた方が良い場合もあります.
- 間接照明で撮影すると,金属部品や黒いモールド部品表面での不自然な照明の反射が少なくなります. また,照明による影も出にくくなります.
- デジカメ内蔵フラッシュは使わない
- デジカメの内蔵フラッシュは発光禁止モードにして撮影してください.
- 実際に間接照明の暗さを見ると,これでちゃんと写るのかと思われるかもしれませんが,最近のデジカメは感度が良いのでノイズの問題もなく,きちんと撮れます.
- 三脚を使う
- 部品・基板の撮影には三脚取付穴のついているデジカメを使ってください.
- デジカメは軽量なので,足のロック機構などの無い安物の三脚で十分です. 大型カメラ用の頑丈な三脚を使う必要はありません.
- 間接照明で撮影すると露光時間が長くなるので,手ブレを避けるために必ず三脚を使ってください.
- セルフタイマーを使う
天井照明の明るさや壁からの反射光の強さに応じて,スチレンボードの高さは適切に設定してください.
壁面からの反射光が強すぎる場合は,天井照明を暗くするか,壁に薄い色のカーテンをかけるなどして対処してください.
逆に照明が暗すぎる場合は,電気スタンドを天井に向けて点けるなどしてください. また,スチレンボードの代わりに光の透過性のある白い日傘を使ったりしても良いのではないかと思います.
- 撮影に使用したデジカメは200万画素のかなり古いモデルです.(ニコン COOLPIX 775)
- 背景は画材店で購入した灰色の色紙です.
天井照明とデジカメ内蔵のフラッシュで撮影
基板下部でフラッシュ光が反射して色が飛んでしまっています.
コネクタ部分も露出オーバーになっています.
天井照明からの直接光で撮影
コネクタとプッシュ・スイッチの金属部分は露出オーバーですが,基板全体は露出アンダー気味で色合いが良くありません.
間接光のみで撮影
コントラストは低めですが色調は一番良好です. 金属や光沢面での不自然な光の反射もありません.(ケミコンの頂部だけは露出オーバーで飛んでしまっています)
映り込みがあるものの,スピーカの黒い樹脂コーンの形状もよくわかります.
天井照明は蛍光灯ですが,ホワイトバランス補正等はせずに自動モードで撮影しています.
- 710万画素のキヤノン PowerShot A710IS を用いた撮影例です.
- 照明は撮影例1と同じく天井の蛍光灯で、スチレンボードを用いた間接光撮影をしています.
- デジカメの露光モードはシャッタースピード優先で、シャッタースピードは5秒、感度はISO80に設定しています. 測光方式は評価測光です.
- ホワイトバランス補正は自動モードで、撮影後に IrfanView を用いてガンマ補正と自動カラー補正(Auto adjust colors)をおこないました.
- ピントが甘かったりしてプロ並みとまでは言えませんが、縮小してカタログやweb等に掲載するには申し分ない写真だと思います.
- 細かいモード設定が出来ないコンパクトデジカメでも、ISO感度のマニュアル設定が出来ればこの程度の写真は撮れるはずです.(ISO感度は最低、フラッシュ発光禁止に設定して、三脚使用、セルフタイマーで撮影すれば良い)
- 撮影条件は撮影例2とほぼ同一です.
- 基板が薄汚く見えるのは、マジックで書いた文字が洗浄でにじんだためです.
- 間接光の入り方が均一でなかったため、画面の周辺部に少し明るさのムラがあります.
- 部品と部品の間に間接光が回り込まず、薄い影が出来ている箇所がありますが不自然な印象はありません. 影が出ないようにするには天井照明を遮るのにスチレンボードを使うのではなく、少し光の透過性のある白い日傘などを用いれば良いと思います.
- 撮影条件は撮影例2とほぼ同一です.
- 真っ黒なプラスチック製のミニ工具を薄青色の目盛りがついた方眼紙を背景に撮影しています.
- 撮影後にソフトでガンマ補正をかけていますが,やや粒子が粗く感じられるものの黒い工具の形状がはっきりわかりますし,材質の異なる3つのナットの質感の違いも明瞭です.
- このような黒いモールド部品を単体で撮影する場合は,背景とのコントラストをつけないとデジカメのオートフォーカスも効かなくなってしまいます.
- 撮影条件は撮影例2とほぼ同一ですが、撮影後のソフトによるカラーの自動補正はおこなっていません.
- アルミ製筐体の小型無指向性スピーカーですが、コントラストは低めであるものの不自然な写り込みもなくまずまずの出来です.
- 左側の写真はスピーカー上部にピントが合っているために最前部のピントが甘く、全体としてはピンぼけ気味の印象を受けます. マニュアル・フォーカスできちんとピント合わせしていれば、もっと綺麗に撮れていたはずです.
- 背景の色紙はもっと明るいものを用いた方が良かったかもしれません.